【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
あたしは部屋をくるっと見渡した。
思ったよりも広く感じるのは、この四人部屋にナギちゃん以外誰もいないからなのかな。
あ、違う。
向かいのベッドには荷物が置いてあるから、席を外しているだけ?
「向かいのベッドのおっさんと結構喋っててさ」
ナギちゃんは簡単にあたしの思考に入り込んで会話をしてくるよね。
「今その人手術中なんだよ。結構大掛かりなんだって」
「そうなんだ……心配だね」
「まぁ大丈夫だろうけど。昨日一人退院していったし、今この瞬間貸し切りのひとり部屋、最高」
にっと笑って、雑誌を閉じたナギちゃんは、点滴のついた腕をぐーっと上に伸ばした。
「胡桃隣に入院しろよ。まじで暇だから」
「やだよ、っていうか色々と……絶対やだよ!」
「えー胡桃いたら最高なのになぁー」
冗談交じりで笑うナギちゃんは、本当にいつも通りの明るいナギちゃんだ。
「早く退院して学校来てよ。あたしだってナギちゃんいなかったら学校でつまんないよ」
「まじ?そんなこと言ってくれんの?」
にやりと笑うナギちゃんに、「うん」と頷く。
「へー。かわい」
そう言いながら、ふわぁっと生あくびをする彼は眠そうに目を瞬かせた。