【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「寝ていいよ。あたしもう帰るから」


「眠くない。断じて眠くない」


かっと大きな目を見開くナギちゃんの目は、血走ってる。


「眠そうだよ」


「いいんだよ。今寝たら夜寝れなくなる」


「子供じゃないんだから……あははっ。わかった。もう少しいるね」


ナギちゃんのベッドの周りを見ると、机やテレビ台の上は差し入れで山積みになっている。

ナギちゃんらしいなぁ。サッカー部の人が大勢来たんだろうな。


本人によく調和した光景に、ふっと口元が緩んだ。


「あ、好きな子はもうお見舞い来てくれた?」


「うん。読みたかった雑誌とか俺の好きなお菓子とか買ってきてくれた」


「えー、よかったね!ナギちゃんの好きなもの知っててくれるんだね」


思わず笑みがこぼれる。
なんだ。ナギちゃんいい感じなんだ。


早く幸せになってほしい。こんなにいいひと滅多にいないと思うもん。


ナギちゃんはくすっと笑ってから、またあくびをした。


「眠いわけじゃないから。ぼけーっとしてるだけで」


いいよ、そんな言い訳は。


「うん、わかった」


静かな病室に居心地のいい空気が流れている。



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