【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「炭酸大丈夫?」

「……はい」

「よかった」


この前見た時よりもかなり大人しく見えて、か弱そうな可憐さがある。


6本目をナギちゃんに手渡して輪から少し離れるように下がると


「は?胡桃も飲めよ」とナギちゃんがあたしに視線を向けた。


「えーと、でもそろそろ帰ろうかと……」


だって、あたしアウェイ感すごいよ。


ナギちゃんは有無を言わせず、缶の蓋を開けて、あたしにずいっと差し出した。


「どーぞ」

「ありがと。いただきます」


一気に飲んで早めに帰ろう。きっとあたし邪魔だし。


ごく。

炭酸きっつ……い。


みんなこれ飲めるの?!



サッカー部の5人とナギちゃんは楽しそうに盛り上がっている。


ちょっと声のボリューム大きいけど、貸し切り状態だから、いっか。


―――コンコン。

「失礼しまーす、藤原さーん」


ドアの方に目をやると、看護師の女性が体温計とボードをもってナギちゃんのベッドに向かってきた。


「面会中にごめんねー。日々大人気ねぇ?はい、検温」


ナギちゃんは体温計を脇に挟んだ。


「調子はどう?」


「べつに、普通っすね」


「痛みは強い?」


「とくには」



ピピ……と体温計が鳴って、看護師さんが受け取った。


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