【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
友達がふざけて見せてくれたことがあるから知ってる。


それでこの箱に入ってるこの二つが ” あまりもの ” なのもわかる。


……灰野くん、藤堂さんと……したんだ。


勉強合宿の大浴場で見た黒いレースの下着をつけた藤堂さんがふっと頭に浮かぶ。


ぎゅううっと心臓が縮むみたいに痛い。


” 俺はあの時みたいにダサいままじゃねーよ ”
なぜか灰野くんが言ったその言葉が頭の中に落ちてきた。


灰野くんは、あたしよりずっと先にいたんだ……。別の人と。


―――ガチャ。


ドアの開く音がして、バァンと机を勢いよく閉めた。


「え?」

「あ、ごめん。勢いついちゃった……」

「そ。ちょっと休憩しよ。こんなん藍田さん食べれる?」

「うん……おいしそう……いただきます」


大好きなチョコのパイなのに
全然……味がしない……。

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