【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「あのね、あたし女の子としかハグってしたことなかったから、灰野くんの胸板が堅くて、男の子なんだなって、すっごくドキドキして。胸板かたいって褒めたんだよね?」


「え」


……そういうことかああああああ。


「そうそう。それね」

とか知ったかぶりながら、もう最高に気が抜けて、藍田さんから離れた。


でも藍田さんの手はまだ俺のシャツをちょんと掴んでいて。


「ね、ねぇ、灰野くん……さっき山本君が言ったこと、半分くらい本気」


「え?」

「そ、その、ずっと先のそういうアレはまだ怖いしできないけど、」


「あ、うん」


だいたいニュアンスで通じたけどすごい日本語だな。


「キスは、したい……」


潤んだ瞳で見上げるのは、だからズルいんだって。


「……藍田さん、ファーストキスだよね?」

「うん」

「憧れ強いって言ってたよね」

「あたし灰野くんに言った……!?」

あ、盗み聞きしただけかも。


「どういうのが好みなの?」


ちゃんと教えて。

その通りにしてあげるから。



< 314 / 400 >

この作品をシェア

pagetop