【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「ツツジかれてるね」


灰野くんがそう言って驚いた。


同じことを考えていたなんて。ちょっと嬉しい……。


「うん、そうだね」


「紫陽花も咲いてない」


「うん」


「こんなとこ歩いててもあれだし、別のとこいく?」


ここまで聞いてやっと気づいた。


灰野くんとあたしは同じことなんか思っていない。



灰野くんがいれば。
茶色く落ちたツツジの頭も、葉っぱだけの紫陽花も全部まるごと写真に収めたいあたしと、そうじゃない彼。


ふぅ、と息を吐いて、
踵を返す灰野くんの後ろを追う。



「なんか気分転換になる場所あるかな」


灰野くんはぼうっと遠くを見渡す。


細めた目がセクシーだなぁ……。


場所なんてどこでもいいよ。


だって灰野くん、最強すぎるから。



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