【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
並んで施設を一周するように歩いていく。


「ナギってさ……藍田さんのこと好きだよね」


それは唐突な言葉だった。
私の目は自然とまんまるに。


「ナギちゃん?ううん、それはないよ」


ナギちゃんには、好きな人がいる。それも高一からずうっと同じ人。


言えないけど。


「ふぅん。でも中学の時に藍田さん、ナギに告られてたじゃん」


「中学は……あの時だけだよ、今は違う」


「へぇ。そうなんだ」




淡々とした声が興味なさそうに相槌を打った。


あたしとは「なにもなかった」って言う灰野くんはナギちゃんに告白された時のことは覚えてるんだ。


じゃあ「ハグ」って言うのは、なにもないに含まれるの?



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