クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?




「カンナ…大丈夫か?」

「……はい。」



あぁ、危なかった。
船に続いてまた馬車でも酔って…
気持ち悪いのを必死で我慢して、なんとか町までたどり着いた。
でも、夕食はとても食べられそうになかった。



「野菜だけでも食べたらどうだ?」

「いえ…今はちょっと…」



お腹はすいてるんだけどね。
さすがに今、食べるのは危険そうな気がする。



「じゃあ、部屋で休んでいろ。」

「はい。」

私が立ち上がると、アルバートさんも同じように立ち上がって付き添ってくれた。



「アルバート様、私が……」

「いや、大丈夫だ。私が送って行く。」

アルバートさんは、私の腕を支えてくれた。



「……すみません。」

「気にすることはない。」

言葉は素っ気ないけど、アルバートさんは本当に優しい。



モルドに来たら、何かが起きて…
その時は、私がアルバートさんを支えてあげようって思ってたのに、何も起こらず、しかも、支えられてるのは私の方だっていう…
なんてこった。



「……水でも飲むか?」

「いえ、今はけっこうです。」

「では、とにかく横になっていろ。
食事を済ませたら、私達もすぐに戻るからな。」

「はい、アルバートさん、どうもありがとうございました。」
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