僕の庭
なのに。




季節は冬、新しい年を迎えようとしていた。

新しい、これから始まる一年がもう目の前だった。


山から吹きおろす寒風が、身の内の熱を奪う寒い日。



流行病で母は静かに逝った。


ただの風邪だろうよ、と。
寝ていれば治るさ、と言っていたのもつかの間、見る見るうちに病状が悪化。
看病という看病もできぬまま、母は死んだ。



母さん、あなたも。
あなたも僕を置いていくの。



母の亡骸の前で、僕は聞こえぬ返事を待って何度も語りかけた。


母さん、僕はもう一人だよ。
一人になってしまったよ。


もう僕には家族はいない。

いないんだよ。




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