北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「雇わなきゃおまえが毎日来るって言うから」
「だっておまえ、ぜんぜん家に入れてくれなくなっちゃって、ゴミ屋敷になってないか心配すんじゃん。ムリに突入したらぜったい絶交されるし、赤の他人が関わってくれればショック療法っていうか、イヤすぎておれのほうがまだましだって思うかなって」
 そうなっていたはずだ、凛乃が来なければ。
 累は黙って庭を見つめる。
「維盛さんって職務意識なのかもしれないけど、後方支援に徹するっていうか、おまえを立ててくれてる感じだよね。ほんとはやろうと思えば、ソツなく仕切れるひとでしょ?」
「ガマンさせてるって?」
「そうじゃないよ。ふたり、いい感じのコンビネーションができてるってこと」
「おまえとよりはな」
 嫌味を言いつつ視線を佐佑に移すと、生温かい眼差しとぶつかってしまった。
「いちばん長続きしてた子より、しっくり来てる気がするよ。グイグイ押してくるタイプだと、おまえすごい距離とるもんな」
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