北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
さっきソファに寝転がったとき、凛乃が来たらすぐに気づけるように、そこは開け放っていたはずだ。タオルケットをかけてくれたときに目覚めなかったのは、ちょっと悔やまれた。
そういえば廊下、床が鳴るところがあるのに、音が聞こえなかったな。
摺り足の凛乃を想像すると笑いがこみあげた。
やっぱり、つるこだ。
累は手の甲で口元を押さえながら立ち上がると、すべりの悪い硝子戸を開けて、目を瞠った。
「あ、おはようございます」
買ったものを冷蔵庫にしまっていた凛乃がふりむく。
「遅くなってすみません。自転車貸してもらったんで、調子に乗って遠出しました。すぐに夕飯の準備しますね」
「……だれかと思った」
累が思わず漏らすと、凛乃は両手で頭を抱えこむように、短くなった髪をなでた。
「駅のあっち側に、激安カットの店があって、飛びこんじゃいました。あ、失恋したとか訊かないでくださいね。ただ暑くてジャマだっただけです。このほうが早く乾くし」
そういえば廊下、床が鳴るところがあるのに、音が聞こえなかったな。
摺り足の凛乃を想像すると笑いがこみあげた。
やっぱり、つるこだ。
累は手の甲で口元を押さえながら立ち上がると、すべりの悪い硝子戸を開けて、目を瞠った。
「あ、おはようございます」
買ったものを冷蔵庫にしまっていた凛乃がふりむく。
「遅くなってすみません。自転車貸してもらったんで、調子に乗って遠出しました。すぐに夕飯の準備しますね」
「……だれかと思った」
累が思わず漏らすと、凛乃は両手で頭を抱えこむように、短くなった髪をなでた。
「駅のあっち側に、激安カットの店があって、飛びこんじゃいました。あ、失恋したとか訊かないでくださいね。ただ暑くてジャマだっただけです。このほうが早く乾くし」