北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
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冷たい水で顔を洗ってリビングに戻ると、累はゆうべ話しこんでいたままの姿で、ソファの背もたれに頭を載せて眠っていた。
累のおなかの上には、バスタオルが拡げられている。ゆうべ子猫をくるんで抱いていたのだけど、子猫は探索にでも行っていたのか、暑くなったのか、どちらにせよいまは累の骨盤あたりに長々と寝そべっている。
凛乃は音をたてないように累のとなりに座った。音はなかったけど、重みが伝わってソファが振動するのに身を縮めながら、自分の脚にだけタオルケットをかぶせた。
と、眠っていると思っていた累の左手が、なにか探すようにソファの生地のうえを徘徊しはじめる。凛乃が右手を滑らせて迎えにゆくと、触れるなり、ぎゅっと握りしめられた。
累の目がゆっくりとひらく。ハチミツ色の瞳が凛乃を見つけると、口唇の端が、きゅっと上がった。
「よかった……。居た」
「居ますよ」
凛乃もきゅっと笑う。
累は目線を落として、子猫をそっと撫でた。
冷たい水で顔を洗ってリビングに戻ると、累はゆうべ話しこんでいたままの姿で、ソファの背もたれに頭を載せて眠っていた。
累のおなかの上には、バスタオルが拡げられている。ゆうべ子猫をくるんで抱いていたのだけど、子猫は探索にでも行っていたのか、暑くなったのか、どちらにせよいまは累の骨盤あたりに長々と寝そべっている。
凛乃は音をたてないように累のとなりに座った。音はなかったけど、重みが伝わってソファが振動するのに身を縮めながら、自分の脚にだけタオルケットをかぶせた。
と、眠っていると思っていた累の左手が、なにか探すようにソファの生地のうえを徘徊しはじめる。凛乃が右手を滑らせて迎えにゆくと、触れるなり、ぎゅっと握りしめられた。
累の目がゆっくりとひらく。ハチミツ色の瞳が凛乃を見つけると、口唇の端が、きゅっと上がった。
「よかった……。居た」
「居ますよ」
凛乃もきゅっと笑う。
累は目線を落として、子猫をそっと撫でた。