北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
庭のほうからじわじわと漂ってくる朝の明るさが、3色それぞれをやさしく照らし出す。子猫は耳をぴくりと揺らしたけど、目覚めはしなかった。
「もう明るいね」
「でも6時にもなってないですよ」
「あと3時間か4時間か」
「なにがですか?」
「不動産屋が開く時間」
なんの用かと思って続きを待つと、
「部屋の申し込み、キャンセルしないと……」
不安げに語尾が消えていく累に、ほほえみかける。
「10時の開店に合わせて行くって言ってあったんですけど、時間になったら電話でお断りしておきます」
「もし文句言われたら、家族に反対されたって言えばいい。それでもごねられたら、おれを巻き込んで」
そうならないほうがいいに決まっているけど、凛乃はこくりとうなずいた。家族として巻き込まれてくれるという申し出が、くすぐったかった。
「もう明るいね」
「でも6時にもなってないですよ」
「あと3時間か4時間か」
「なにがですか?」
「不動産屋が開く時間」
なんの用かと思って続きを待つと、
「部屋の申し込み、キャンセルしないと……」
不安げに語尾が消えていく累に、ほほえみかける。
「10時の開店に合わせて行くって言ってあったんですけど、時間になったら電話でお断りしておきます」
「もし文句言われたら、家族に反対されたって言えばいい。それでもごねられたら、おれを巻き込んで」
そうならないほうがいいに決まっているけど、凛乃はこくりとうなずいた。家族として巻き込まれてくれるという申し出が、くすぐったかった。