北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
お礼の先払いで、累の頬に口唇を押しあてる。離れるとすかさず累が顔を向けてきて、偽物のキスをした。
ふたりのルールでは偽物だけど、心が通っているのはまちがいない。
安堵したように、累の目が閉じかかる。
「もうひと眠りしよう……」
「抱っこ代わりますから、横になったらどうですか? 座ったままだと、寝足りないでしょう」
凛乃が意識を手放す寸前まで、累は熱心に迷い猫捜索情報を調べていた。
首輪こそしていなかったものの、子猫はずいぶん人懐っこい。すでにだれかのお世話になっている可能性はあった。
おだやかに首を振る累を見れば、それが杞憂に終わったことがわかる。
「凛乃が寝ないなら起きてる」
「じゃあ寝ます」
凛乃は累の左肩に、ことんと頭を置いた。累がお返しに、頭をあずけてくる。
一晩中そうだったように、よりそった腕が抱えこまれて絡み合った。累は凛乃の手をリズミカルに指で叩きながら、もう片方の手で子猫を撫でつづける。
ふたりのルールでは偽物だけど、心が通っているのはまちがいない。
安堵したように、累の目が閉じかかる。
「もうひと眠りしよう……」
「抱っこ代わりますから、横になったらどうですか? 座ったままだと、寝足りないでしょう」
凛乃が意識を手放す寸前まで、累は熱心に迷い猫捜索情報を調べていた。
首輪こそしていなかったものの、子猫はずいぶん人懐っこい。すでにだれかのお世話になっている可能性はあった。
おだやかに首を振る累を見れば、それが杞憂に終わったことがわかる。
「凛乃が寝ないなら起きてる」
「じゃあ寝ます」
凛乃は累の左肩に、ことんと頭を置いた。累がお返しに、頭をあずけてくる。
一晩中そうだったように、よりそった腕が抱えこまれて絡み合った。累は凛乃の手をリズミカルに指で叩きながら、もう片方の手で子猫を撫でつづける。