北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
四肢を伸ばしきった子猫は、まるでふわふわでくたくたにやわらかいぬいぐるみだ。ゆうべ、24時間やっている動物病院でノミダニのチェックを受けて、ひとしきりもがいたことを、すっかり忘れたようだ。
「安心しきってるんですね。ここを気に入ってくれたみたい、この子」
累がうなずいたのが、こすれた髪から伝わった。
「名前、どうしますか?」
「つるにこ」
「つる、にこ?」
「2番めのつるこだから」
ネーミングセンスはともかくとして、即答したくらいだから決意は固いだろう。この子猫が、ほんとうの生まれ変わり。
「よかったですね」
心からそう思った。
つるこちゃんは帰ってこなかったけど、この子が孵った。それでつながる。
「迷い猫が家に住み着いたら幸運がやってくるって、フランスの田舎のほうでは言うんだけど」
凛乃の指のあいだに、累の細く骨ばった指が滑りこんでくる。
「安心しきってるんですね。ここを気に入ってくれたみたい、この子」
累がうなずいたのが、こすれた髪から伝わった。
「名前、どうしますか?」
「つるにこ」
「つる、にこ?」
「2番めのつるこだから」
ネーミングセンスはともかくとして、即答したくらいだから決意は固いだろう。この子猫が、ほんとうの生まれ変わり。
「よかったですね」
心からそう思った。
つるこちゃんは帰ってこなかったけど、この子が孵った。それでつながる。
「迷い猫が家に住み着いたら幸運がやってくるって、フランスの田舎のほうでは言うんだけど」
凛乃の指のあいだに、累の細く骨ばった指が滑りこんでくる。