北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 フォローしながらも、凛乃は赤面するのを押さえられなかった。宣言することこそ、意識している証左になる。
「あ、荷物、取ってきますね!」
 いたたまれずに納戸を飛び出そうとした凛乃は、累がさっと伸ばした腕に行く手を阻まれた。
「おれが持ってくるから」
 ゆっくり階段を下りていく累の背中が視界から消えてから、凛乃は両手で顔を覆った。
「そういうのがマズいんだってば!」
 極力小さな声で吐いた怒りの言葉は、3畳の納戸に霧散した。
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