北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 思わず視線を落として、剥きだしの膝と半分ほども露出した太腿にまで、居心地が悪くなる。まさか面接で正座すると思っていなかったから、裾がほんの少しフレアになったタイトスカートのスーツで来てしまった。
 家政婦の面接にふさわしい装いっていうのが、ほかにあったのかな。エプロンが似合いそうな服? ジャージ? でも面接と名のつくものに挑む戦闘服は、これしか持ってない。
 泳ぐ視線を、缶コーヒーに移す。
「あ……」
 男が目ざとくそれに気づいた。「冷えてなくてすみません。お茶っ葉とかのある場所がわかんなくって」
 見てはいるようだ。
「いえ、おかまいなく」
 もどかしい思いを押しこめて、凛乃は笑顔で訊く。
「……それで、とめ子さんは?」
 男はわずかに首をかしげた。
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