My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
「なぁセリーン、そんなにすぐに動いて平気なのか? いくら傷が治ったからって辛いだろ?」
俺はもう何度目か後ろから声を掛けるが、未だ一切の答えが無い。
セリーンの前にはまだ小さいままのラグがやはり早足で雪道を進んでいた。
――あの後、二人は俺が止めるのも聞かずにすぐに宿を飛び出しノーヴァの街を出た。
セリーンは宿を出る際主人にかなり多めの金を渡し、ラグはなぜか昼間だというのに火のついた松明を手にしていた。
主人曰く、カノンちゃんを攫ったそのグラーヴェ兵はランフォルセの近衛騎士だと名乗ったそうだ。
「例の使者だろうな。ランフォルセに戻んならノーヴァに一泊してってもおかしくねぇし」
俺がそう言うとラグは悔しげに強く拳を握りしめていた。