My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
セリーンは相変わらず何も話してくれず、ラグは「ビアンカ」という名前と、これが誰かからの借り物だということしか教えてくれなかった。
(借り物って……。この数カ月の間に一体何があったんだよ)
俺はラグの小さな背中を見ながら胸中でそう呟いていた。
――7歳の頃からずっと傍にいたラグが急に遠くに行ってしまった気がして、少し寂しさを覚えてしまったなんて絶対に言えねぇ。
それでもラグの持ってきた松明の意味はその後わかった。
どうやらこの大きな白蛇もどきは寒さで冬眠してしまったらしい。
俺はラグに言われその松明の炎を使いビアンカの周りに炎の壁を作り上げた。勿論山火事なんて起こらないよう上手く加減してだ。
ビアンカはほどなく目を開け、ラグとセリーンはほぼ同時に安堵のため息を漏らしていた。
「すぐに飛べるか?」
ラグがそう言うとビアンカは応えるようにむくりと頭を持ち上げ、その後やる気を見せるように翼を大きく動かした。
その迫力に、俺は思わず一歩後退ってしまったのだった。