My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
辺りは闇に包まれていた。小さな背中に俺はため息交じりに声をかける。
「大丈夫か?」
「うるせぇ!」
「焦る気持ちもわかるけどよ。なんなら先回りしてグラーヴェ城を張ってたっていいんだし。城に戻るってのは確実なんだろ?」
「何日掛かると思ってんだ!」
「まぁな……。でもこんな暗い中闇雲に探したって見つからねぇだろ?」
「ならどうしろってんだ!」
その時小さな鳴き声がした。ブゥがポケットから出てきたのだ。
おそらくは大分前から起きていて、それでも出て来れなかったのだろう。
「そうだ。ブゥ、お前はわかるか? カノンがこの山のどこかにいるんだ」
「ぶぅ?」
「流石に広すぎるだろうよ」
ダメだコイツ、完全に冷静さ失ってやがる。
俺だって焦っている。だがこんなラグを見ていると、この小さな背中を見ていると、俺は何でもないふうを装いたくなるのだ。
「おい、とにかく戻れ」
そう上空から声がかかった。
俺は抵抗する細い腕を無理やりに引いて空へ飛び上がった。