My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2

「うっ……」

 セリーンの顔が一瞬だけ苦しげに歪んだが、少しずつ確実に傷が塞がり始めるのを掌から感じとる。

「いけそうか?」
「あぁ、でもお前も戻ったら頼むぞ、その方が確実だ」
「わかってる」
「……その、声は、愛しの子か?」

 セリーンがふっと表情を和らげ小さなラグを見上げた。しかしそれはすぐに悲痛に歪む。

「すまない、カノンを、護れなかった」
「後で聞く。喋んな」

 そんなラグの声にセリーンは再びすっと目を閉じた。

 ラグが元のサイズに戻ったのはその少し後。
 また背後の二人が驚くのがわかったが、ラグも俺も今はそんなこと気にしていられない。
 ノーヴァはストレッタに近いこともあり、他の街に比べて術士に免疫があるはずだ。

 ラグは包帯の巻かれた腕に手を触れ癒しの術をかけ始めた。
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