卑劣恋愛
智樹にされた時とは全然違う、喜びが胸の奥から広がって行くのを感じる。


今あたし、武とキスした……?


あの照れ屋な武が自分からキスをするなんて、驚きすぎて唖然としてしまった。


しかし、次の瞬間だった。


武が動いたと感じた時、自分の腹部になにかが食い込んでいた。


それは痛みとなり、全身をかけぬける。


見てみると、あたしの腹部には武の拳がめり込んでいたのだ。


「あははははは!! ノドカの顔、ウケル!!」


千恵美がバカみたいに大声で笑う中、あたしは横倒しに倒れていた。


容赦なく殴られたようで、口の中に酸っぱい物が込み上げて来てそのまま吐きだした。


胃の中は空っぽだから、透明な胃液が吐きだされた。


体力が消耗されていたこともあり、たった一発でも意識が朦朧としてくる。
< 174 / 262 >

この作品をシェア

pagetop