卑劣恋愛
もうそんな力は残されていなかったけれど、初めて千恵美へ向けて心からほほ笑みかけた。


そうだよね……。


その気持ち、わかるよ。


あたしと千恵美は実は似た物同士だったのかもしれないね。


「やめろ!!」


叫ぶ智樹の髪の毛に、千恵美はライターで火をつけた。


髪の毛は燃えやすいようで、それは一気に大きな火となって智樹を包み込み始める。


部屋から逃げ出そうとする智樹の体を抱きしめて、千恵美は引き止めた。


やがて千恵美の体にも火が燃え移り、大きな1つの炎になる。


部屋の中は信じられないほど熱いはずなのに、あたしの体は寒かった。
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