My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3

「ツェリも、王子も絶対にそう思ってる」

 楽しげだったドナの表情が一瞬強張るのがわかった。

 ――楽しく歌って踊るための歌は、いつの間にか、恋の歌になっていた。

「ドナに逢えて良かったって、王子も絶対にそう思ってるから。だから、」

 喉が詰まってそれ以上言葉にできなかった。

 困ったように目を伏せてしまったドナ。
 でもすぐに顔を上げて、笑ってくれた。

「私もカノンに、……アイツに、逢えて良かったって思ってる」

 そして、

「そうだな。少しだけ、アイツを信じてみよっかな」

そう言って、もう一度、少しぎこちなく笑った。


 それから、ドナのアンコールで私はもう一度同じ歌を歌った。
 ドナはとても楽しそうに踊ってくれた。
 自由に舞うその姿はとても綺麗で、まるで森の妖精のようで。
 王子にも、見せてあげたいと思った。 



 帰り際、私は足を止めさっきまで座っていた岩を振り返った。

「カノン、どうしたんだ?」
「ううん。……ひょっとしたらあそこに、ノービスさんの友達だった銀のセイレーンも座ったのかなって思って」
「……そうかもな。うん。絶対アタシたち、ばあちゃん達と同じことしてるよ」
「だね」
「うん」

 そして私たちはまた笑い合う。
 ラグは先ほどよりかは怒りが治まったようで、そんな私たちの後ろで呆れたような溜息をひとつ吐いていた。

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