愛は惜しみなく与う②
「なーんだ。連れってお前のことか!あぶねーあぶねー!手出すとこだった」
小走りでグラスを二つ持って新が来る
新はおじさんを猫田さんと呼んだ
「いや、なーに。可愛い嬢ちゃんが1人で来たのかと思って、ちょっとばかしこの場所のルールでも教えてやろうかと」
「やめてください、杏は私の連れです」
どいてくださいと、猫田さんを新があたしの隣からどかす
「大丈夫ですか?何もされてません?」
「え、うん。なんか肩に手回してきたし、キモって思ったけど、ここで殴り飛ばしたら、騒ぎになるし……どうしよって思ってた」
「はぁ…私の言い方が悪かったですね、ごめんなさい」
新は隣に座ってあたしの手にお茶の入ったコップを握らせた
「杏が嫌な気持ちになるような事があるなら、それはもう仕返していいです。私が大人しくしてろと言ったばっかりに、嫌な思いをさせてすみません」
「え?なんで新が謝るん?」
どう考えてもこのおっさんやろ、悪いの
「自分からトラブルに突っ込まなければそれでいいです。向こうから手を出してきたのであれば正当防衛ですので」
にこりと笑った