愛は惜しみなく与う②
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バッと立ち上がる杏の腕を必死に掴む


「待ってください、お願いです。今は私しかいません。あなたに何かあれば守れるのは私だけです。どうか落ち着いて」


こんな華奢な腕に力を入れてしまっては、いけないと思いつつも、杏の力が強くて思わず手に力を入れる



猫田さんの話を聞いて、少し胸騒ぎがした

杏の顔色もよくない



そして杏が猫田さんがその人物が、名乗った名前を言う前に、当ててしまった


『アンタレス』



それは、星座の蠍座を作る上で、一番輝く赤い星の名前だ



サソリ

スコーピオン


そして杏はサトルがいたと声を出して立ち上がる。
でも本当に今はダメだ

この中でも、味方なんていない。猫田さんだって、不自然な態度の杏を気にして、情報として持つはずだ


だからどうか、抑えてください



「新どうしよ…」

「大丈夫です。大丈夫。ここで目立ってはいけません。まだここにいるかは分かりませんが、あなたは顔が割れているんです。とりあえず落ち着いて」


杏の頭をポンポンとする
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