クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
 さりげない気遣いが胸を締めつける。強引で意地悪なところもある一方で、こういった細やかな優しさを見せる亮が憎い。

 私ばかりときめかされている。ずるい。

 心臓の音が煩くて、相手に聞こえたらどうしようかと心配していると、そっとベッドの端に下ろされた。ベッドに腰掛ける形で亮を見上げれば、彼は腰を落として私と視線を合わせる。

「愛してる。もう二度と逃がさない」

 真剣な表情と低い声色に心臓を鷲掴みされる。おかげで次のキスは目を閉じられなかった。

 角度を変えて唇を重ねるだけのものが数回繰り返され、すぐにそれだけでは物足りなさを感じてしまう。

 切なげな瞳で亮を見れば、逆に彼は余裕たっぷりだ。私の濡れた唇を親指で丁寧になぞる。

「もっと?」

 焦らすように尋ねられ、目だけで応えると彼はどうしてか私のドレスのサイドにあるファスナーに手をかけた。

 器用に下ろされ、体に密着していたドレス生地がたゆむ。 その間から亮の手が滑り込まされ、薄手のインナー越しに彼の手のひらの感触があった。

 反射的に制する形で私は亮の手に自分の手を重ねる。ところが、彼は冷静なままだ。

「どうした? 皺にならないようさっさと脱いだ方がいいんだろ」

 前回、ホテルの部屋に泊まったときの話を持ち出され、私は反応に困ってしまう。さらに亮は意地悪く口角を上げた。

「この前は自分から脱いでおいて?」

「あ、あれは。その、寝ぼけてて……」

 しどろもどろに言い訳すれば、亮が眉尻を下げて私のおでこに自分の額を重ねてきた。
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