クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
それにしてもやっぱり亮の記憶力はすごい。道も微妙に変わっているのに、まったく道案内する必要もなく、私のアパートの近くまでたどり着いてしまった。
ハザードランプをつけて車が停まったので、私は亮にお礼を告げシートベルトをはずす。
『汐里』
名前を呼ばれ、改めて彼を見れば右手が掴まえられた。
『また連絡する。来週、会えるのを楽しみにしているから』
軽さなど微塵もなく、あまりにも真剣な声色と眼差しに私は息を呑む。亮と再び付き合うことになったのだと、念押しするかのようだった。
これは夢じゃない。
次の瞬間、掴まれていた手が引かれ、わずかにこちらに身を乗り出した亮が唇を重ねてきた。ほんの一瞬で、すぐに温もりが消える。
『お疲れ。ちゃんと休めよ』
続けて頭に手のひらの感触があり、小さく頷いた私は、なにも言葉を発せず素早く車を降りた。
徐々に気温は上がり始め、外の空気は、じめっと湿り気を帯びている。
いつもなら不快感でさっさと部屋に入ろうとするのに、このときの私は動き出す車を静かに見送り、その後に時間差でやってきた動揺と格闘する羽目になった
いやいや。なにをこんなに狼狽えているの。それこそ初めて彼氏ができた大学生でもあるまいし。キスだって初めてでもない。もっと言えば亮と付き合うこと自体が二回目なわけで……。
暴走する思考回路を落ち着かせるため、必死で自分に言い聞かせる。
どうしよう。どうなるんだろう。
ひとまずドレスを脱いで楽になろう。私は冷静さを取り戻し、自分の部屋に足を向ける。
来週、亮に御馳走するハンバーグの付け合わせはなににしよう。頭の隅でそんなことを考えながら。
ハザードランプをつけて車が停まったので、私は亮にお礼を告げシートベルトをはずす。
『汐里』
名前を呼ばれ、改めて彼を見れば右手が掴まえられた。
『また連絡する。来週、会えるのを楽しみにしているから』
軽さなど微塵もなく、あまりにも真剣な声色と眼差しに私は息を呑む。亮と再び付き合うことになったのだと、念押しするかのようだった。
これは夢じゃない。
次の瞬間、掴まれていた手が引かれ、わずかにこちらに身を乗り出した亮が唇を重ねてきた。ほんの一瞬で、すぐに温もりが消える。
『お疲れ。ちゃんと休めよ』
続けて頭に手のひらの感触があり、小さく頷いた私は、なにも言葉を発せず素早く車を降りた。
徐々に気温は上がり始め、外の空気は、じめっと湿り気を帯びている。
いつもなら不快感でさっさと部屋に入ろうとするのに、このときの私は動き出す車を静かに見送り、その後に時間差でやってきた動揺と格闘する羽目になった
いやいや。なにをこんなに狼狽えているの。それこそ初めて彼氏ができた大学生でもあるまいし。キスだって初めてでもない。もっと言えば亮と付き合うこと自体が二回目なわけで……。
暴走する思考回路を落ち着かせるため、必死で自分に言い聞かせる。
どうしよう。どうなるんだろう。
ひとまずドレスを脱いで楽になろう。私は冷静さを取り戻し、自分の部屋に足を向ける。
来週、亮に御馳走するハンバーグの付け合わせはなににしよう。頭の隅でそんなことを考えながら。