クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「だから……また今度、作るときに手伝って」

 もっと普通に返せばいいものを、ついしどろもどろになってしまった。

 さらに発言してから、勝手にまたここで料理をする話にしてしまったのを、少しだけ後悔する。亮から反応がないから余計に。

 もしかして、そういうつもりはない?

 亮の意思を訪ねようと顔を上げれば、そのタイミングで唇が重ねられる。完全な不意打ちだった。

 なにか言おうとする前に亮の大きな手が頭に乗せられる。

「なら次は手伝うよ。今日は汐里に甘えさせてもらう」

「……うん」

 私は短くそう答えるのが精いっぱいだった。ずるい。そんな嬉しそうな顔をされたら、なにも言えない。

 笑うにしても普段は意地悪な笑みばかりなくせに。

 リビングへ戻る亮の背中に向かって心の中で悪態をついて、赤く染まった頬に気づかれないよう両手で覆う。

 なんだろう、この気持ち。やっと両思いが叶ったみたい。

 頭を振って気持ちを切り替える。今は料理に集中しよう。ある程度作り置きと下準備をして持ってきたからおかずはあまり心配ない。

 まずはご飯を炊かないと。味は落ちるかもしれないけれど早焚きモードを使おうと決め、お米を()ぎにかかる。

 ややあって亮がこちらに戻って来た。対面キッチンの向かいにあるダイニングテーブルに腰を下ろし、いつもの余裕たっぷりの笑みをこちらに向けてくる。
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