クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
 そこで私の考えが別の角度に移る。お互いにいつまでも学生じゃないし、別れてから何年も経っている。変わらないわけがない。

 もしかして、あれかな? 付き合った彼女の影響とか?

 私と違って亮は私と別れてからも、それなりに異性との付き合いもあっただろうし。むしろ彼の場合、とっくに結婚していてもおかしくなかった。

 だって私と別れたのも、彼の婚約者と名乗る女性の存在があったからで……。

 口に含んでいたハンバーグが急に苦くなる。

 だめだ。せっかく一緒にいるのに。

「亮も、カッコよくなったよ。元々すごくモテてたしね」

 自分の気持ちとは裏腹に私は明るく笑顔で告げた。

「それは、どうも」

 私の反撃を彼は余裕のある表情で受け流す。きっと言われ慣れているに違いない。それから他愛ないやりとりを繰り返し、食事は楽しく進んだ。

 食べ終わり、亮の勧めで洗い物は食洗器に任せた私は、来たときにちらりと見たアクアリウムに見惚れていた。

 グッピーにネオンテトラといった定番ものをはじめ、いくつもの種類の熱帯魚が水槽の中で悠々自適に泳いでいる。

 複数種を同じ水槽で飼うのは魚同士の気質や相性もあるのでそこらへんを考慮せねばならず、実はわりと難しい。

 頭の中を空っぽにして、いつまでも見ていられる。水族館しかり。いいな、やっぱり癒される。
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