クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
 すぐ隣に亮の気配があるのが、なんだか懐かしくて心地いい。

「亮は、大学を出た後どうしてたの?」

 気が緩んだからか、自然と気になっていた質問が口を衝いて出る。

 食事の際、私からは聞けなかった。つまりは「私と別れてから」という話になるわけで、どうしても上手く切り出せずにいた。

 亮は大学を卒業後、同じ大学の院に進学し修士課程に進んだ。

 だから院生と学部生として、ふたつ年下の私との付き合いにも大きな弊害はなく、私の学部卒業と同時に彼も博士課程には進まず修士課程で修了する予定だった。

 それは私との交際に関係なく、最初から決めていたことらしいけれど……。

「とりあえず父親の仕事を継ぐために、一度会社に入って勉強ばかりしていたよ。今度のグローサーケーニッヒのレストランの件が初めて責任者として任された大きな仕事なんだ」

「そうなんだ」

 淡々と説明していく亮に私は相槌(あいづち)を打つ。予想通りというべきか。

「あとアメリカに留学もした。あっちの水族館は有名なものが多いし、うちと連携して進めているプロジェクトもあったから」

「え、いいな。アメリカってモントレーベイ水族館とか、ジョージア水族館とかたくさんあるよね」

 間髪を入れずに声高く反応した私に、亮の視線が向く。目が合ってドキッとし、続けてさっと血の気が引いた。

 亮は仕事で行っていたのに、ミーハーな切り返しをしてしまった。苦労もそれなりにあっただろうに、私ってばつい……。
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