太陽と月

教室に入ると、談話していたクラスメートが一瞬会話を辞めて私を見る。


「お…おはよう」そう挨拶をするも殆どの生徒が返事をしない。


2日目にしてこの雰囲気…


そう思っていると、後ろからガバっと誰かに抱きつかれた。


「椿!おはよー!」声の持ち主は美月だった。


私は微笑み、おはようと返す。


「なぁなぁ!椿!今日買い物何処行く?」そうニコニコ聞いてくる美月。


「美月に付き合うから何処でもいいよ。ね、美月はクラブ入る?」そう聞くと


「ほんなら、何かオソロイの物買いに行かへん?私、椿とオソロイの物欲しい!クラブー?今んところ入る予定は無いかなー。」


そう返してくれる美月。


オソロイの物。何だかくすぐったい気持ちになった。
友達って感じがした。


颯介の言葉が頭をよぎる。


“本当の椿を知ったら離れていくよ。”


大丈夫。美月はそんな子じゃない。そう自分に言い聞かせ、ホームルームが始まるまで、何処に行こうか?の相談をした。









「はーい。席につけー!ホームルーム始めるぞー!」担任が入ってきて憂鬱な時間が始まった。


ボーっとしていると後ろから背中を突かれている事に気付く。


「…椿っ!椿っ!」


その声でハッとすると担任が目の前に立っていた。


「…西園!俺の話聞いてたか?」


「すみません…。聞いてませんでした」正直に言うと数名のクラスメートがクスクス笑う。


バカにした様な笑いだった。


「はぁ…後で職員室に来るように」
溜息をつき教壇に戻る担任。


私もバレない様に小さく溜息をついた。


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