希望の華
男の顔にかすかに悲しみの色が見え隠れする。
「けれどその子も忍の端くれ。
自らのために命を捨てるなんて行為には到底いきつけない。
若くしてその命に与えられた時間を持て余し始めました。
そんな子供は将来、どうなるか。
あなたはどう思います?」
私の質問に彼は真剣に考えてくれた。
彼は、こたえを、くれるのか。
「こんなのはどうだい?
理由を見つけるんだ。その力を、その子のすべてをささげられるものを。
たとえば。愛する人を見つけるとか。
守りたいもの、そんなものでもいい。」
ああ、この人もまた、私にこたえをくれなかった。
私が知りたいのは、その、ささげられるもの、が知りたいのに。
私はどこか諦めるように彼の顔から視線を外した。
「たとえば。
時空をこえて、今のような戦いのある時間に行くんだ。
そこで、大切な何かを見つけるんだ。
どうだい、神楽君。君はここでそれを見つけるんだ。」
私はその言葉に驚きを隠せなかった。
「この物語の子供は、きみじゃないか?」
「なんで...わかったんですか?」
「そりゃ、君のことを見れば。
元々、君はわからないことが多すぎた。出身、素性、何もかも。
それから言葉も、知らないものがあった。」