希望の華
私の希望通り、いやそのはるか上の答えをくれた彼は何者なのか。
「君が見ていた世界が平和で、もし私がそれに一役買っていれば、今私たちがここで戦っている理由にもなる。
どうだい、神楽君。君が命を懸けて守りたいもの、仕えたい人ができるまで。
君の命を預けてはみないか。
君の生きる理由を探す手伝いをさせてくれないか。
ここで、壬生浪士組で。一緒に探さないか。」
「いや。」
私は小さく、切り出す。
「もう、見つけましたよ。
ねぇ、名前も知らないあなた。
私の主に、なってくださいませんか。」
私は彼の前に跪き、彼を見上げた。
彼の瞳の奥が大きく揺れるのを確かに見た。
「私で、いいのか?」
「貴方が、いいんです。」
彼は参った、といい笑う。
その言葉の意味はイエスかノーか。
「まさか人生で、自分の忍を持つことになろうとはね。
私は近藤勇、壬生浪士組局長だ。
よろしく、神楽君。」
「局長...」
彼を初めて見た時からあった既視感の正体に気付く。
参考書の写真に載っていた彼を、私は今目の前にしている。
まさか、近藤勇だなんて、思いもしなかった。
私は彼が差し出した手に応えた。
私はここでこの人のために、忍として、生きていく覚悟を決めた。