希望の華


「じゃあ、行こうか。神楽君。」

「え?」



近藤さんが当たり前のように言ったことに耳を疑う。

私は言うなれば、捕虜。お尋ね者だ。
局長とはいえ、独断で決めていいのだろうか。



「安心してくれ。トシたちには、神楽君の秘密を話したりはしない。
君自身が話したいと思ったときに伝えればいいさ。」



未来から来たということ、つまり歴史をかえることができる立場にいる私。
彼としては、きっと願ってもない可能性だろう。

きっとこの組を動かす力が、欲する。
利用されて当然の中で、私はこの人に仕えたい、そう思った。



それが私の忠誠の証明。
彼が望むならば、未来のひとつやふたつ。変えて見せよう。

それで、彼が幸せになるのならば。



「その着物、汚れちゃってるし、替えを買いに行きたいけど。
まずはトシのところだな。」



自由奔放、この人以上にこれが似合う人はいないと思う。
局長という身にありながら、蔵に通い連れ出す。

呆れられて当然かもしれない言動も彼の一つの魅力に感じてしまう私は、つくづく朝日奈の人間だと思う。

家ではなく、個人が、個人に、仕えてきた私の先祖。
確かに自分が父様や叔父様と血縁であること、それもうれしかった。

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