希望の華


連れ出され、たどり着いた場所は私が数日前に暴れた場所。
トシ、というのは歳三のトシだったみたいだ。

“神楽”がそばにない不安もこんなに長く感じたことなど今までにない。
今現在の不安と、あの時の不安が相まってどうにかなりそうだ。



「“神楽”...」


私がそう呼ぶと近藤さんは不思議そうな顔をする。



「神楽っていうのは、私の名前であって、私の刀の名前でもあるんです。」

「そうか、複雑だな。」

「まあそうですけど、私はあの子であの子は私、っていう感じなんで複雑でもなんでもありません。

形が違うだけで本質は同じものに変わりはないので。」



そうか、と考え込む彼は私という一臣下に向き合おうとしてくれている。

私には当たり前の感覚でも慣れない人には受け入れがたいものかもしれない。



「トシ、話がある。入るぞ。」



すっとふすまをあけると煙管を銜えながら文机に向かう土方の姿があった。

ふとこちらに視線を流し、私の姿を見た瞬間、銜えていた煙管を落としてばっと立ち上がった。



「勝っちゃん!どういうことだよ。」


そりゃそういう反応にもなる。

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