希望の華
「蔵の出入りは許可したが、こいつを連れ出していいとは一言も言ってない。」
「言われてないさ。
でも、状況が変わったんだ。」
近藤さんの言葉を理解できていない土方。
今にも殴りかかってきそうな勢いで私をにらみつける。
「彼女は。神楽君は私に忠誠を誓う、そう言ってくれたんだ。」
「あ?そんなの局長だから媚び売って逃げようってだけだろ。」
こいつ、世の中には言っていいことと悪いことがあるのを知らないのかな。
「私は彼女に先程まで、局長とは伝えていない。」
「だがな、こいつは忍だ。嘘のひとつふたつ、顔色変えずにつくんだ。」
「だまれ!土方、お前忍を何だと思ってる!」
私は土方の言葉が許せず、声を荒げた。
「確かに忍は嘘なんて簡単につく。相手にわからないように訓練もする。
でも、それは。
任務のため、主のため。
私利私欲のため、ましてや忠誠に関しての嘘を、忍の私がつくとでも!?
よその忍さんは知らんけど、うちの一族はそのことだけは、譲らない。」
感情のまま土方に声をぶつける。