副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
少しすると、年配の男性に声をかけられた。

「やあ、篠原君。久しぶりだね」

「ああ、川崎社長。ご無沙汰してます」

川崎社長……外食産業を営む会社の社長さんだ。
昨年、仕事で関わったのを思い出す。

「今日はまた、綺麗な方をお連れですね。いつもの秘書の方は?」

「片山は、しばらく休職してるんです。今日は、もう一人の秘書の佐山が同行してます」

「副社長秘書の、佐山美鈴と申します」

「やあ。てっきり、篠原君のパートナーかと思ったよ。しかし、綺麗な方だ」

しばらく雑談をすると、川崎社長は去っていった。

「ほら、綺麗だって言われただろ?狙われないようにね」

「社交辞令ですよ!」

そう返すと、なぜか呆れた視線を向けられた。



その後も、仕事で関わった会社の方や、初めてお会いする方との挨拶が続いた。

「佐山さん、大丈夫か?疲れたでしょ?」

「いえ。なんとか大丈夫です」

「そう?じゃあ、もう少しだけ挨拶をしておきたいんだけどいい?」

「はい。お伴します」
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