副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
私と啓太さんの偽りの関係が、自分の思ったより広く知れ渡っていくことに、今さらながら怖くなってきた。

契約期間が終わった時、私はどうなってしまうんだろう。
この会社にも居づらくなるかもしれない。

ううん。
それどころか、パーディーでいつ啓太さんに出くわすかわからない。
その時、啓太さんの横に本物の婚約者の方が寄り添っていたら……いや、奥様かもしれない。
そんなの、耐えられそうにない。


「美鈴ちゃん、本当に大丈夫か?」

どうやら深刻な表情で考え込んでいたようで、篠原さんが再び心配そうに覗き込んできた。

「篠原さん……片山さんはまだ、体調が思わしくないんですか?」

突然話を変えた私を、篠原さんは訝しげに見てきた。

「うーん、そうだね。年内いっぱいは休むって決まってる。たぶん、もう少し長引いて、春頃からの復帰かな。体調のことだけじゃなくて、家の事情も出てきたみたいだから。でも、復帰することは間違いないよ」

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