副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
張り切って迎えた当日。
受付をすませて、母と一緒に更衣室でドレスに着替えた。

「あら、江里ちゃんに美鈴ちゃん。久しぶりね」

夕ちゃんのママに、声をかけられた。

「あっ、加奈ちゃんに夕ちゃん。こんにちは」

「美鈴ちゃんは、初めての発表会だね。1番なんだって?頑張ってね」

「うん」

「夕ちゃんは何番だった?」

「夕は9番よ」

「聴いてるからね。夕ちゃんも頑張って」

「はい」

同じ田川先生に習っているとはいえ、他の生徒さんに会うのは発表会ぐらいなものだ。
夕ちゃんに会ったのも、去年の発表会以来だ。
母親同士はもう少し会っているようだけど。


「さあ、みいちゃん。そろそろ舞台袖に行かないとね。ママとパパは客席で聴いてるからね」

「うん」

母は、舞台袖で田川先生に私を託すと、客席の父の元へもどっていった。
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