副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「美鈴ちゃん、ちょうどいいじゃないか。今週末、俺はどうしても付き合ってやれないからさ」

一瞬、東山さんが訝しげな顔をした気がするけど、次の瞬間には、いつものスマイルに戻っていた。

「お二人は、仲が良さそうですね」

「ははは。美鈴ちゃんは、うちの会社の核になる人ですから、みんなで大切にしてるんですよ」

「篠原さん、変なことを言わないでください」

「本当のことだよ。
ドレス、東山さんのところで選んでもらえるならちょうどいいよ。美鈴ちゃんも、一人でショップに行くより、心強いでしょ?」

「いや、でも……」

「いいから。
東山さん。じゃあ、うちの佐山をお願いします」

「わかりました。とびきり綺麗にしてみせますよ」

「それは楽しみだ」

「佐山さん、土曜日の16時頃にここへ来れますか?」

「……大丈夫です」

「それでは守衛に話を通しておきますので、裏口から声をかけてください」

「はい。お手数おかけしますが、よろしくお願いします」

篠原さんにしろ東山さんにしろ、私が何を言っても無駄な雰囲気だ。
ここはもう、プロとも言える東山さんにお願いすることにした。
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