副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「それではまず、選んだドレスを見てもらいましょうか」

そう言って、白い布がかけられたラックを引いてきた。
そっと布をどけると、5点ほどのドレスがかけられていた。

ボルドー、濃いグレー、深い緑色、黒、黄色。
どれも洗練された、素敵なデザインだ。

「以前、ネイビーを着用されていたので、それ以外のお色で見立てました。どうぞ、近くで見てください」

触れてみると、とても心地良い生地ばかりで、どれがよいのか、目移りしてしまう。

「どれも素敵ですね。私に着こなせるのかどうか……」

「どれもよくお似合いになると思いますよ。試しに着てみましょう」

とりあえず、手前のボルドーのドレスを手に取った。

「こちらは、これからデビューするデザイナーのものを、うちで先行して販売することになりまして、そのうちの一着です。なので、まだ出回っていないものなんですよ」

「それを私が試着してしまって、大丈夫なんですか?」

「もちろん大丈夫です。さあ、そちらへどうぞ」

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