婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

しばらくぽめとのもふもふ抱擁を味わっていたが、その小さな体を離すと、ぽめは軽やかに私の膝から降りる。

「わんっ!」と一声出し、てくてくと出口まで歩いて行き、私の方を振り返ってもう一度「わんっ!」と吠えた。

…え?おいで、って言ってるみたいな。



勝手にそう解釈して、ぽめの後に続いてテントの外に出る。



「お、羅沙起きたか?…ぽめが起こしてくれたのか?」



テントの前には豹牙がいて、キャンピングチェアに腰掛けている。

こんな早朝にも関わらず、足元の焚き火台には、火起こしがしてある。

水の張ったお鍋がコトコト沸騰しかかっていた。

ぽめは「わんっ!」と吠えてから、豹牙の膝にぴょんと飛び乗った。



「豹牙、おはよ」

「まあ、座りなさい。酔っ払い」

「…え?酔っ払い?そんなに飲んでないよ」

「おいおい。あの量をそんなに飲んでないと?…まあ、興奮して泣き叫んでいたからな?変に酔いが回っちまったんじゃね?」

「………」



お酒に酔っていたから、いつ寝たかわからなかったのか。

やってしまった、と軽く自己嫌悪に陥りながら、豹牙の隣の椅子に腰掛ける。

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