婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
私もかつては剣技だけではなく、神術も習おうとしたことがある。
しかし、基礎中の基礎である神力を掌中に込めて形にすることすら出来なかった。
神力のカケラすら出すことが出来なかったのである。
言われた通りに何度やってみても、結果は同じで。
それを見ていたおかあさまがそのうち『羅沙は女の子で戦に出ることなんてないから、そんなもの覚えなくていいのよ?』と、半ば慰めのように『やらなくていい』と遠回しに言われ、それから神術の習得を諦めてしまった。
その頃から、ヘタレ癖が始まっていたのだろうと、今になって思える。
呆れちゃうなぁ。
「ふーん…」
しかし、私のそんな過去話を聞いて、豹牙はますます唸って考え込んだ。
あの豹牙がからかってくる様子がなく、真剣になっているのも変な感じ。
そして、豹牙は口を開いた。
「結論を言うと、羅沙。おまえが神力を使えないとは、俺思えないのよ」
「へ?」
「今の夜叉王も、先代の夜叉王も。次兄の羅刹だってガーディアンが務まるぐらいの神術は使える。おまえの母ちゃんは誰だかわからんが、例え平民の出だとしても、片親が王族なら使えないこともないはずなんだけどな」