婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そうこうしているうちにも、閃光が掌から放たれてしまう。
身動きも取れず、視界を奪う光から顔を背けるように伏せたが、私を庇うように、閃光との間に陰が飛び込んできた。
「わんわんわん!」
…ぽめ?!
《羅沙、逃げなさい!》
《嫌です!……お父様!》
その時、不意に昔の記憶が呼び起こされていた。
目の前の光景が、あの時の場面と被る。
割って飛び込んだぽめは、私を庇って稀少種から放たれた閃光をモロに受ける。
爆音と爆風、「キャイィーン!」と切ない鳴き声と共に、ぽめは吹っ飛ばされ、先程の私同様樹木に叩き付けられた。
「…ぽめ!」
振り返ると、地に転がっているぽめの姿が。
白くてもふもふの毛が、赤く染められて…。
「…あぁぁっ!…ぽめ!」
魔力の圧が弱まったのか、立ち上がることが出来た私は倒れているぽめの方へと体を向けて手を伸ばす。
あんな小さな子が、魔族の攻撃を受けたらひとたまりもないのはわかっている。
ぽめが、ぽめが死んじゃう!
「…ぽめは大丈夫だ!それより羅沙!…背を向けるな!」