婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
何なんだこれは…!
辺り一面の炎は、色が不自然だ。本来の赤身を帯びた橙ではない。
滴る血のような、真っ赤な紅蓮の炎…。
まるで、紅蓮地獄…!
所々に火が上がっており、それは樹々をも燃やす。
よく見ると、火の根源は…魔族?呻き声をあげたり、業火に焼かれ藻掻きながら、魔族が生きたまま燃えているのだ。
数えきれないくらいの魔族を燃やす炎の塊が、そこらにゴロゴロ転がっていた。
この炎は何だ?
魔族の攻撃か?…でも、焼かれて苦しんでいるのは、魔族。こっちの兵が焼かれている様子はない。
戦闘が続いている様子もない。攻撃を仕掛ける魔族の姿もない。
炎によって魔族が全滅している?
このよくわからない異常事態を目の当たりにしながら、炎を避けて本陣へと向かう。
見えてきた本陣は、何故か炎の被害がないが、負傷した兵士、炎の脅威に晒されながらそれらを搬送する兵士の姿が目立つ。
『皆の者、撤退だ!』
『また魔族が集まる前に、本陣移動せよ!』