婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そんな中、本陣の傍らには…総大将である夜叉王がいた。
『王も早く撤退を!傷の手当てを!その傷で動かれるのは無理です!』
『俺は行かん!…羅沙が!羅沙を探さねば!』
斬り込まれたのか、鎧が血塗られていて、膝をついた状態で護衛兵に抱えられているが、その腕を振り払って飛び出しては、ヨロヨロと倒れ込んでいた。
羅沙の姿も見えない。いったい何が?
『父上、何が。酷い傷を負っているではないですか』
『俺のことはどうでもいい!それより夜迦、羅沙を…羅沙を見つけてくれ!』
『…ひょっとして』
『羅沙の闇の神力が暴走した!』
羅沙の神力…?
…羅沙は神力持ちではないはず?
しかし、この切羽詰まった状況で、それを問いただす余地なんてない。
『夜迦、竜樹!頼む…『相殺』だ!それでこの紅蓮の炎は消える…!この炎を一刻も早く鎮火させ…羅沙を…!』
『王!…意識が!』
『奥へと運べ!…王!』
意識が朦朧とし始めた夜叉王は、護衛達に連れて行かれる。
その様子を横目に、夜迦と目を合わせた。