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『神術使える者は、炎に『相殺』を放て!炎を鎮火させよ!』



夜迦の号令で、俺も含めた神術を心得た兵士は炎に向けて次々と『相殺』を放っていく。

すると、夜叉王の言う通り、みるみるうちに炎が姿を消していったのだった。



…そんな中、本陣の傍らで倒れている羅沙を発見する。

こんな灼熱の中にいたにも関わらず、意識のない羅沙の体は冷たかった。

体内の神力を全て出し尽くした様子で、虫の息だった。



【魔の森】の『紫の門』は、全て封印し、魔族も羅沙の紅蓮の炎によって大方殲滅。

討伐遠征は、一応成功。



しかし、夜叉王は深傷を負い、のちに死に至る。

体内の神力を出し尽くした羅沙は、しばらく意識不明の状態が続いた。

『ああぁぁ!何てことなの…羅沙、羅沙はもう戦場には行かせないわ…!』

目の覚めない羅沙の横で、母の白楼様が恨み節のように呟きながら泣いていたのが、忘れられない。



遠征より帰還してから、夜迦に羅沙の神力について問い正す。

どうも、羅沙の『闇』の神力については前々から周知していたようで、でも夜叉族ではその『闇』の神力をコントロールする術を知る者がいない。
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