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しかし、鬼子母神は泣きながら頭を下げて、天帝に温情を求めた。

授かった力だけは何とか取り上げないで見逃して欲しい。それが無くては、この先五百の子たちを育てることはできない。

『十分反省をし、二度と人の子は喰らわない』と許しを乞う鬼子母神に、天帝は温情を与えることとし、天命を下す。



それは、迷惑をかけた人間界の守護。

それと…自分の娘を何人か天界に出仕させ、奉公することだった。

謂わゆる『人質』だ。



その人質に抜擢されたのが、鬼子母神の子である…現在の毘沙門天の妻、吉祥天。

そして、その妹の…『黒闇天女』だった。

…要するに、この二人は羅沙にとって、歳の離れた姉。



しかし、この『黒闇天女』が、後に【稀代の悪女】と言われ。

この天界に更なる悲劇、戦争をもたらすこととなる。

それも、俺達が生まれる前の話。

俺達の親が、俺達の年の頃の話だ。



天界に人質として招かれた美しい二人の娘。

吉祥天は、毘沙門天様の監視下に置かれ、毘沙門天の居城で暮らすことに。

…これが、当時の毘沙門天様の御子であった、現在の毘沙門天様と吉祥天の出会いだ。
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