目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「そう?ありがとう」

ここは淡白に流しておくことにした。
奢っても、謙遜しても、あまりいい受け取り方はされないだろう。
実は、笙子と別れてから俺はすぐ車を買い換えた。
他の女を……特に笙子を乗せた車に、百合を乗せるということの嫌悪感。
百合の純粋さが、汚されるような気がしたからだ。
実際そんなことはないだろうが、これはもう気分の問題だろう。
それともう一つ、この車が教授の乗っていた車と同じ車種の最新版だからという理由もある。
初めて乗る車が同じ型のものなら、少し緊張も解れるのではないかと考えたからだ。

「食べたいものはある?」

「え、えーっと、一色さんにお任せします」

「じゃあ、近くに小料理屋があったよね?そこにする?」
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